photo is 〜あなたにとって大切な瞬間〜


第2弾はスタジオタカノに入社して16年程になる鶴田さんにインタビューをしました。


服部(以下H):さっそく鶴田さんが持って来た写真を拝見できればと思います。

鶴田(以下T):ちょっと待ってね、どれにしょうかな、、、(フォトブックを開く)

H:たくさん持って来たんですね!

T:これね、俺の初期の自分でいいなと思った写真を入れているミニアルバムなんですよ。入社して最初の何年かそういうのを作ってたんですよ。どれにしようかな、、、

H:進藤さんとはまた違うスタイルですね。進藤さんはこれ!という写真を持ってきてくれましたが、鶴田さんはここから選ぶんですね。

T:そのこれっていうのが何を出せって言っているのか分からなかったので。

H:今自分が思う大切な写真を1枚出してもらえたらなと思います。

T:じゃあ、僕これにします。


H:風景写真ですか、これは何処を撮っているんですか?

T:これは調布飛行場です。

H:なんでこの写真を選んだんですか?

T:うーん、分かんないけど入社して最初の頃撮って、なんかしっくりくるモノがあったので、、、すいません、しょうもない写真で(笑)

H:これはいつ撮った写真ですか?

T:これはたぶん入社して1年目だと思うんだけど、、、だからフィルムですよ。

H:季節はいつなんですか?撮った瞬間の記憶ってありますか?

T:秋の夕方だと思います。

H:あえてこの暗い感じが良かったんですかね。よく見ないと風景が見えないじゃないですか、それも含めて良いということなんですかね。

T:うーん、、、良いとか悪いとかじゃない。自分の中でちょっと納得したというか、理由は分かんないけどスッと腑に落ちたというか、そういう感じの思い出と一緒にある写真なんだよね。撮った後に、あーこういう感じで撮りたかったなあーっていう感じで撮れた写真という記憶が自分には残ってる。

H:じゃあ、この写真を撮る時はどういう気持ちなんですか?撮りたい!という気持ちではないということですか?

T:撮影現場の帰りに調布飛行場を見た時に、あ、こういう感じで撮ろうかなと思って撮って、仕上がりの写真が自分のイメージに近い写真になったっていう。

撮ろうと思ったわけじゃないけど、パッと見たのをこういう感じで撮りたいなーと思って撮ったら、自分の欲しかった感じで撮れたんじゃないかなっていう。

、、、逆にどうですか?(笑)

H:意外ですね。鶴田さんも子供の成長の記録の写真かと思いました。

T:成長の記録はもっぱらスマホですよ(笑)

俺、風景撮るのほんと苦手だから。

H:苦手なんですか?

T:苦手、苦手、風景超苦手。何撮ったら良いか分かんないし。

H:風景が苦手なのに、この時は風景を撮ったんですね。

T:そうそう、割と腑に落ちたから印象に残ってんだと思う。

H:風景が苦手なのに撮りたくなる時があるってことですか?

T:まあ、その時はちょっと思ったんだろうね。

H:この中の(フォトブック)写真は人物が多いですか?

T:人物が多いよね。元カノもいっぱい写っておりますが(笑)

H:(笑)

T:自分の中で良いなと思った写真を残しているんだよね、理屈はないんだけど。

H:人物が多いのにあえて風景を選んだんですね。写真を撮る時は考えて撮るんですか?

T:考えますよ。

H:考えて撮るっていうのはどういうことを考えるんですか?考えることは人によって、撮る構図や角度とか、自分が撮りたいと思うまで待つ人とかいろいろあると思うんですけど。

T:それはまだ教えられないですね。

H:それは企業秘密なのか、それともまだ自分の中で言葉にできないということなのか、どっちなんですか?

T:いや、教えたくないです。

H:えー教えたくない!?、、、なるほどー(笑)

T:すいません(笑)

H:教えたくないっていうのは、自分の中で大切にしたいことがあるってことなんですか?

T:そういうことですね、しかも自分が何年も掛かって辿り着いた境地なんで、そう簡単には教えないぞっていう(笑)

たぶんそれを服部さんに言っても理屈では分かっても本当には分からないから、もうちょっと分かるようになってきた奴には教えるっていう(笑)

H:(爆笑)、じゃあ私は未熟者ってことですね!

T:うん、もうちょっとね(笑)

H:それは面白いですね、だいたいの人が教えてくれるので。

T:僕の写真のテーマなので、そのテーマだけで学校写真も普段の写真も撮ってる。

たまにテーマから外れる事もあるけどね。

H:写真を撮っていて楽しいなと思える人ですか?

T:うん、撮ってる時に思うよ。写真を撮っていて辛いと思う事はそんなにないかな。

H:このフォトブックの写真は自分がいいなと思った写真が入っているんですか?

T:自分の中で引っかかるモノがあった写真を残している写真だよね。

H:じゃあ、良いとは別ですね。

T:良いとは別だと思う。上手くいっても失敗してもなんかこの感じ覚えておこうという写真。

H:仕事以外で写真を撮る事はありますか?

T:ほぼないね。俺はオフには撮らないタイプだね、仕事の時しかスイッチが入らないタイプ。

H:鶴田さんが自分が写真を撮るテーマに気付いたのはいつなんですか?

T:良いこと聞くね、入社して10年目ぐらいかな。

H:それは前々から少しずつ考えていて気付いたのか、いきなりこれだ!!って神がかった感じで降りてきたのかどっちなんですか?

T:これだ!っていきなり降りて来た感じだね(笑)神がかった感じ(笑)

俺はこれを撮る為に生まれてきた!!みたいな。

H:じゃあ、パーッ!と開けた感じですね。

T:うん、そうだね。凄く楽になった。

それまでは周りの写真を撮っている人を見て、自分で個人的にテーマを持って血尿が出るまで極めて撮らなきゃ一流にはなれないみたいな呪いをかけられてたから、俺もプライベートで良いモノを撮らなきゃいけないんじゃないかっていう、写真漬けになっていかないとプロにはなれないんじゃないかっていう先入観があったんだけど、降りてきたテーマで全てパーっと違うって気付いた。ほんとに降りて来た感じだね。

H:じゃあ、そこからはそのテーマに添って撮るだけなんですね。

T:テーマというか、そういうことを考えて撮るだけだね。

仕事だと多少テーマから外れた写真を撮ることはあるけど、だいたい繋がってるから大丈夫。

H:今後もそのテーマを持ち続けて撮ろうという気持ちですか?

T:うん、そうだね、死ぬまでそれでいいです。

H:自分の中で撮るスタイルとかはありますか?

T:前より撮ることを待てるようになったかな。例えば、2人話している人がいたとするでしょ、その後ろで誰か通過してくれたらもっと良い感じになるのになーと思って、後ろを通過する人が来るまで待てるようになった。

自分の中で撮りたいイメージがまとめられるようになったのかもしれないね。

この空間の中に入って来て欲しいっていう感じが写真撮ってる時によくある。

H:これから撮りたい写真はありますか?

T:真上から集合写真を撮ってみたい。ドローン使ったり、自分が宙づりになって魚眼で極限まで生徒に近寄ったりして超真上の写真を撮ってみたい。

向日葵みたいな集合写真を撮ってみたいね。

H:今まで仕事を続けてきて、俺のやりたかったことは写真じゃない!とか、感情の波はありましたか?それとも平坦でしたか?

T:あるよ。6、7年目のぐらいの時に、あと何回京都に行けばいいんだろうと思ったことはあるね。ただ、ずっと働いていくと、積み重ねた人にしか行けないステージがあると思うから、ずっと同じことの繰り返しではないんだなと思う。

でも、未だに京都とかに年間何十回も泊りの撮影に行っていたら、さずがにうんざりしていたかもしれないけど。

H:鶴田さんは今はカメラマンというよりは人を管理する立場だと思うんですが、どうですか?

T:管理はものすごく難しくて大変だよ。管理ってほんと大変。ビビるよ。

一カメラマンの方がよっぽど楽。だけど、必要とされていて今の自分のポジションがあるからどっちが大変とかはなくて、必要とされているものに対して働くという感じ。

カメラマンが必要ならカメラマンとして働くし、管理する人が必要ならそっちで働くっていう感じ。

自分は自分の顔を鏡越しでしか見た事無いでしょ。

俺は、他人がこういうことやってくんないかって言ってくれることを凄い大事にするんですよ。

俺の中で意外に思ったとしても言ってくれた人が、コイツは出来るんじゃないかって期待して言ってくれてるんだと思うの。

そういう他人の何気ない感触だったとしても、他人から振られたことは基本断らないっていうスタンスだね。

H:管理する側になって撮影に行く事が減ってきたと思うんですけど、もう少し撮影に行きたいという気持ちはありますか?

T:もうちょっと撮影に行きたいね。撮ってないとやっぱり劣化しちゃうから。

H:では今後自分はこうなっていたい、とか大切にしていきたいこととかありますか?

T:俺は自分を必要としてくれる人の為に生きたい、ただそれだけ。必要としてくれなくなったら死にます。そん時のラストショットは自分で撮ります(笑)

H:孤独ですね〜(笑)

T:人は生きている限り誰かに必要とされてるんですよ、ほんとに誰からも必要とされなくなったら死んでるよ、きっと。だからそういう必要としてくれる人を感じながら生きて行くってことかな。

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